ベルカント音楽学院

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フルート名曲集シリーズ Part6 『ナイチンゲール(ドンジョン)』

フルート名曲集をみてみよう!ソロ編 
「フルート名曲31選」よりドンジョン作曲”ナイチンゲール”


①曲名はアルファベットでRossigolet(ロシニョール仏語)、カタカナでナイチンゲール(英語Nightingale)とあります。
ナイチンゲールというとクリミアの天使と称された看護師を思い浮かべますが、全くの無関係です。
英語のスペルから想像しやすいですが、和訳は「夜鳴きウグイス」です。
とても美しい鳴き声を持ち、暫し音楽の題材に使われます。(例 クープラン作曲/恋のウグイス)

②作曲はドンジョン(1839〜1912)フランス生まれのフルーティスト。たくさんの小品や練習曲を残しています。

③小品ながら幾つかの場面に分かれます。既出のパン同様、表題音楽です。
各部分がどういう場面か想像して演奏すると良いでしょう。

 
[1〜12小節]Lentoレント遅くの意味ですが英語のスロー(slow)に相当します。木々の生い茂る森で優雅に鳴いてるナイチンゲールをイメージしては?
[3小節め]同じリズムは引きずるように段々テンポを速めて[5小節め]の挿入句にはブレーキをかけて入りましょう。

 
[13〜23]Largament幅広くゆったりと([1〜12]より遅く)。森をでて広大な風景の見える木へ飛んで来た。
6連符は転ばず丁寧に。やはり同じリズムが続く箇所はテンポに緩急をつけましょう。

 
[21小節]avec elanは激しくぶつけるの意味ですが、過度にならずやや軽快に。
[22小節]rapideは速くですが、駅の特急電車の表示もコレですね。

 
[24〜28小節]はテンポ表示は有りませんが、テンポはやや速めで演奏しましょう。
天敵が現れたのか緊張感のある場面です。

 
[29〜38]は最初とおなじです。危機を脱してまた美しい鳴き声を奏でている。

 
[39〜最後]はappassionato doublez情熱的に倍で(倍の速さで)の意味です。
軽やかに歌いながらどこかへ飛んで行ったのでしょう。
シンコペーションが主体のリズムです。アクセントをしっかりつけて間延びしないように演奏しましょう。

【注目ポイント】
 
[24.25]小節めの32分音符は高い音に注目してください。
4分音符と2つの8分音符のリズムでラとシが並びます。ラーララ、シーシシです。
この音を強弱を付けて吹いてみましょう。そのメロディがあぶりだすように強調して演奏しましょう。

フルート講師 八木秀之

【伴奏編】
 
場面転換が多くテンポをソリストに合わせるのは難しい曲です。
あらかじめソリストとテンポ感を共有して遠慮なく弾きましょう。
裏方に回ってしまうと重苦しい曲になってしまいます。
最後のappassionato doublezは左手の動きがテンポを支配しますのでしっかりと弾きましょう。

ピアノ講師 寺澤佳江